2026-07-03
シェルフェシリーズ第5弾 - なぜリフティングは「支持靭帯」と「デザイン」が重要なのか?
リフティングは単に皮膚を引き締めるだけでなく、顔の立体的な支持構造である「支持靭帯」の理解と適切な「デザイン」が重要です。最新の論文をもとに、高周波(RF)が支持靭帯のコラーゲン変化に与える影響と、効果的なリフティングの秘訣を解説します。

リフティングのカウンセリングをしていると、多くの方がこのように仰います。
「肌が少したるんできた気がします。」
「ほうれい線が深くなりました。」
「フェイスラインが昔のようにすっきりしていません。」
このような時、リフティングは単に皮膚を引き締めるだけの施術だと考えられがちです。
しかし実際には、顔のたるみは皮膚の層だけの問題ではありません。
顔は
皮膚
脂肪
SMAS(表在性筋膜)
線維性支持構造
支持靭帯(retaining ligament)

が共に構成する立体的な構造であり、老化はこれらの複数の層で同時に進行します。
本日は、なぜリフティングにおいて支持靭帯が重要なのか、そしてなぜ施術のデザインが結果を左右するのかを、論文の内容をもとに分かりやすく説明してみたいと思います。
1️⃣ 顔はなぜたるむのか?
顔のたるみを単に「肌の弾力が落ちたから」とだけ説明するには不十分です。
年齢を重ねるにつれて、顔では
皮膚のコラーゲン減少
真皮の弾力低下
脂肪の移動
線維性支持組織の弱化
支持靭帯の緩みが同時に現れます。


つまり、顔は単に皮膚が伸びるのではなく、
顔を支えている構造自体が弱くなることで、下方向へたるんで見えるようになるのです。
そのため、時間が経つと
ほうれい線が深くなり
マリオネットラインができ
フェイスラインが崩れ
頬のたるみがより目立つようになります。
2️⃣ 支持靭帯(retaining ligament)はどのような役割を果たすのか?

支持靭帯は、皮膚と軟部組織を下の構造物に固定する支持構造物です。
分かりやすく言えば、顔の組織が元の位置を維持できるように助ける
固定紐や支柱のような役割を果たすと理解していただければと思います。

この構造が健康な時は、顔のボリュームと重さが比較的安定して維持されますが、
老化が進行すると
支持靭帯周辺のコラーゲンが弱くなり
線維構造が緩み
組織を支える力が減少することで
顔の軟部組織が徐々に下へ移動するようになります。
結局のところ、リフティングは単に皮膚表面だけの問題ではなく、
このような支持構造をどのように理解し、アプローチするかが重要なのです。
3️⃣ 最新の論文では、RFが支持靭帯のコラーゲン変化にも影響を与え得ると見ています
従来のRF(高周波)リフティングの論文は主に
真皮のコラーゲン収縮
コラーゲン再生
皮膚のタイトニング
小じわの改善
に焦点が当てられていました。

しかし、最近発表された研究ではもう少し深く掘り下げて、
👉 老化した顔の支持靭帯のコラーゲン変化に、RFがどのような影響を与え得るか
を観察しました。
この研究は人を対象とした臨床試験ではなく、
細胞実験と動物モデルに基づく前臨床研究ですが、
リフティングを理解する上で非常に興味深い意義があります。
4️⃣ 論文から見る核心:RFは単なる「熱」以上の反応を作り出す
この論文で研究陣は、
RFが単に組織を温めて瞬間的に収縮させるにとどまらず、
細胞内部の分子シグナルの変化まで誘導する可能性を見出しました。
特に重要視されたのが、まさにHSP70です。
HSP70は熱刺激に反応する保護タンパク質であり、
細胞がストレスを受けた際に損傷を減らし、回復の方向へ反応するように助ける役割を果たします。

論文では、RF照射後に
HSP70の発現増加
HSP70とIKKγの結合増加
IκBα phosphorylationの減少
NF-κB活性の減少が観察されました。
少し分かりやすく説明すると、老化した組織では炎症や分解の方向へ反応が傾きやすいのですが、
RFがこのような流れを一部緩和させ、
組織が分解されにくく、より安定した方向へ進むように助ける可能性を示したということです。
5️⃣ なぜこれが重要なのか?
コラーゲンを分解するシグナルを減らし、回復のシグナルを増やしたからです。
論文では、RF後にコラーゲン分解に関わる酵素である
MMP1
MMP2
MMP3
MMP9
の発現が減少しました。
MMPとは簡単に言えば、コラーゲンやECM(細胞外マトリックス)を分解する方向に働く酵素のことです。

老化が進むと、このような分解シグナルが多くなり、
コラーゲン線維がより切れやすく、より乱れ、より弱くなります。
反対にこの研究では、RF後に
SMAD7の減少
pSMAD2/3の増加も観察されました。
この部分は、コラーゲンの生成とリモデリングに有利な環境であると解釈できます。
つまり、RFは単に「引き締める」のではなく、
👉 分解されにくくし、より整ったコラーゲン構造へと回復する方向に誘導する可能性
を示したのです。
6️⃣ 支持靭帯の中では実際にどのような変化が見られたのか?
この論文が興味深い理由は、
分子の変化だけでなく、組織レベルの変化も一緒に観察したという点です。

老化した支持靭帯では
コラーゲン密度の減少
コラーゲン束の細化
線維のfragmentation(断片化)増加
helical structure(らせん構造)の消失が観察されました。
分かりやすく言えば、本来は緻密で整っているべき支持構造が、
より細く、砕け、乱れた状態に変わっていたということです。
ところが、RF照射後には
collagen density(コラーゲン密度)の増加
collagen bundle diameter(コラーゲン束の直径)の増加
collagen type I / III ratioの回復
線維配列とhelical structureの一部回復が確認されました。
つまり、👉 緩んで弱くなった支持靭帯のコラーゲン構造が、より整った方向へ変化する様子が観察されたのです。
もちろん、この研究だけで
「人の顔においてRFが支持靭帯を直接リフティングする」と断定することはできません。
しかし、少なくともリフティングを皮膚表面だけの問題として捉えるのではなく、
顔の支持構造全体のリモデリングという観点から理解できる根拠にはなります。
7️⃣ 重要なポイント:強くすることが常に良いとは限らない
この論文でもう一つ興味深い部分は、
より高いエネルギーが常に良い結果をもたらしたわけではないという点です。
研究では42Wと73Wを比較しましたが、
複数の指標において、むしろ42Wの方がより有利な反応を示しました。

これはリフティング施術において非常に重要なメッセージを与えてくれます。
多くの方が「エネルギーが高いほど、より強力にリフティングされるのではないか?」
と考えがちですが、実際の組織は単純ではありません。
過度な熱は痛み、過度なストレス、不必要な組織反応につながる可能性があり、
常に良いリモデリングを意味するわけではありません。
つまり、👉 リフティングは強く行う施術ではなく、適切に伝達する施術なのです。
これこそが、デザインが重要である理由です。
8️⃣ だからこそリフティングにおいて「デザイン」が重要な理由
同じ機器を使用しても結果が変わる理由は、単にショット数の違いだけではありません。
実際にさらに重要なのは、
どの部位を中心に診るか
どのような顔のタイプか
皮膚の厚さと脂肪の分布はどうか
どの構造がたるみの根本的な原因か
どの方向にベクトルを設定するか
どの層にどの程度の強度で繰り返すか、です。
つまり、リフティングは機器の名前だけで決まるのではなく、
顔の構造をどれだけよく理解し、それに合わせてデザインするかが核心となります。
特に支持靭帯や支持構造を考慮せず、
単に顔全体に均一に照射するだけの方式では、
望むリフティング効果が十分に得られない可能性があります。
そのため、実際の施術では
たるみが始まるポイント
固定力が必要な部位
肌理の改善が必要な部位
過熱を避けるべき部位を分けて考える必要があります。
9️⃣ シェルフェのようなRFリフティングを検討する際にも重要なのは「どこに、どのように」です
シェルフェのようなRFリフティング機器を検討する際、
多くの方が
何ショットなのか
痛みはどの程度か
サーマクールと何が違うのかをまず気になさいますが、
実際にさらに重要な質問は、
👉 「私の顔ではどの構造を目標に、どのような方式でデザインするのか?」です。
顔のたるみの原因が
皮膚の弾力低下が大きいのか
脂肪の移動が大きいのか
支持靭帯の弱化が大きいのか
フェイスライン中心の問題なのか
中顔面中心の問題なのか
によって、施術のポイントと方式が変わるべきだからです。
結局のところ、良いリフティングは機器一つで自動的に作られるのではなく、
顔の構造を読み取り、適切な熱刺激を設計する過程から生まれるのです。
🔟 まとめ
リフティングは単に皮膚を引き締める施術ではありません。
顔は皮膚、脂肪、SMAS、支持靭帯が共に構成する構造であり、
老化はこれらの複数の層で同時に進行します。
最新の論文では、RFが老化した支持靭帯において
HSP70の増加
NF-κBの減少
MMPの減少
コラーゲン I/III ratioの回復
コラーゲン密度と線維構造の改善
といった変化を誘導する可能性を示しました。
つまり、RFリフティングは皮膚表面だけでなく、
顔を支える構造のリモデリングという観点から理解する必要があるということです。
したがって、リフティングにおいて重要なのは単なるショット数や強いエネルギーではなく、
👉 顔の支持構造を理解し、それに合わせてデザインすることなのです。
おわりに
シェルフェリフティングを含むRF施術は、
単に「顔を温めて引き締める」という概念で捉えるよりも、
顔のたるみがどこから始まり、
どの構造が弱くなっているのかを一緒に考慮することで、より良い結果を期待することができます。
結局のところ、リフティングは機器の名前よりも解剖学的な理解とデザインがさらに重要なのです。