2026-07-03
マリオネットライン、口元のシワではなく「下へ引っ張られる構造」の問題です
マリオネットラインは単なる口元のシワではなく、顔の構造の崩れや筋肉の牽引によるものです。直接フィラーで埋めるのではなく、下顔面の支持構造を立て直し、コラーゲン再生を促す根本的な治療法について解説します。

口元から顎に向かって長く伸びるシワ、
一般的にマリオネットラインと呼ばれています。

このシワができると
疲れた印象に見えたり、
口角が下がって見えたり、
怒っているような印象を与えやすくなります。
しかし、マリオネットラインも単なる口元のシワではありません。
海外の論文から見るマリオネットラインの本質
海外の解剖学・老化に関する論文では、
マリオネットラインを
👉 口元周辺の構造の崩壊 + 筋肉の牽引 + 脂肪の再配置の結果として説明しています。
つまり、
**「口元にできた線」ではなく、
「下へ引っ張られて下がった顔の構造の痕跡」**なのです。

マリオネットラインを3つの原因に分けると
① タイプ1 – 口元横のボリューム減少型 (Perioral volume deficiency)
口元の横、つまりプレジョール(pre-jowl)部位のボリューム減少が
マリオネットラインの始まりである場合です。
下顎前方のボリュームが減り、
口元を支えていた構造が弱くなることで、
線が下に向かって形成され始めます。
👉 この場合、シワよりも「支持組織の消失」が核心となります。
② タイプ2 – ジョール(jowl)とともに生じるたるみ型 (Sagging of lower facial fat)
年齢を重ねるにつれて
口元の上側と下側の脂肪の重さの差が大きくなり、
下顎のラインに沿って脂肪が下へ押し出されると、
マリオネットラインがさらに深くなります。
この時の特徴は、
✔ マリオネットライン +
✔ フェイスラインの崩れ +
✔ 口角の下落が同時に現れるという点です。
👉 このタイプで口元だけを埋めると、jowlがさらに強調されて見える可能性があります。
③ タイプ3 – 筋肉牽引型 (Muscle-driven marionette lines)
海外の論文で非常に重要視されている部分です。
マリオネットラインには、口角を下へ引っ張る筋肉、
すなわち *depressor anguli oris (DAO:口角下制筋)* が深く関与しています。
この筋肉は口元の皮膚に直接付着しており、
笑っていなくても持続的に下方向への張力を与え、
時間が経つにつれてシワを固定させます。
👉 若い頃は表情を作った時だけ見えますが、
👉 年齢を重ねるにつれて無表情でも残るシワになります。
だからこそ、マリオネットラインも「直接埋めません」
マリオネットラインにヒアルロン酸などを直接注入した場合に生じうる問題:
口元が重く見える
表情が鈍くなる
さらに垂れ下がった印象になる
なぜなら、大部分のマリオネットラインは
👉 線そのものではなく
👉 線を作り出す上下の構造の問題だからです。
マリオネットライン治療の中心、構造的なボリューム回復
マリオネットライン治療において私がメインで用いるアプローチは、
**レディエッセ(Radiesse)**を活用した下顔面の構造再配列です。
✔ 口元を直接埋めるよりも
✔ プレジョール(pre-jowl)・フェイスライン・下顔面の支持構造を先に立て直し、
✔ コラーゲン再生を通じて皮膚の弾力を回復させれば、
マリオネットラインは自然に緩和されます。
このような場合、このアプローチが特に効果的です
口角が下へ引っ張られて見える場合
マリオネットライン + フェイスラインの崩れが併発している場合
口元のフィラー注入後の不自然さが心配な場合
自然で長持ちする変化を望む場合
マリオネットライン治療の核心まとめ
✔ シワではなく構造の問題
✔ 下へ引っ張る筋肉の影響を考慮
✔ 口元への直接的なフィラー注入は最小限に
✔ 下顔面の支持 & コラーゲン再生を中心とした治療
おわりに
マリオネットラインは
❌ 口元のシワ単体の問題ではなく、
⭕ 下顔面の老化のサインです。
そのため、「どこに注入するか?」よりも
**「どこを先に立て直すか?」**がはるかに重要です。
正確な原因分析が、最も自然で印象の良い結果を生み出します。
📚 参考にした海外の論文・学術資料
✅ 1. Marionette line (静的口唇下シワ) の解剖学的診断およびフィラー注入技法
タイトル: Anatomical-based diagnosis and filler injection techniques: marionette line (static labiomandibular fold)
ジャーナル: Journal of Dermatological Treatment (レビュー論文)
DOI / リンク: https://doi.org/10.1080/09546634.2025.2452954
✏️ この論文は、マリオネットラインの解剖学的メカニズム(モディオラスの位置・筋肉・皮下脂肪の構造)から、フィラー注入および筋肉抑制の戦略までを扱っています。
✅ 2. Marionette linesの発生メカニズムと糸(スレッド)ベースの介入
タイトル: Why do marionette lines appear? Exploring the anatomical perspectives and role of thread-based interventions
ジャーナル: Skin Research & Technology
DOI / リンク: https://doi.org/10.1111/srt.13676
✏️ マリオネットラインが解剖学的・生理学的要因の複合作用によって生じると説明し、糸による介入の役割も分析しています。
✅ 3. Marionette lines + Nasolabial foldsのレーザー治療効果
タイトル: Efficacy evaluation of endolift laser for treatment of nasolabial folds and marionette lines
ジャーナル: Skin Research & Technology
DOI / リンク: https://doi.org/10.1111/srt.13480
✏️ マリオネットラインおよびほうれい線治療におけるレーザーの効能を評価した臨床研究です。
✅ 4. Marionette Linesの実証事例 (Volumizing Threads適用)
タイトル: Marionette lines correction with volumizing threads
ジャーナル: Journal of Cosmetic Dermatology
DOI / リンク: 10.1111/jocd.16490 (PubMed)
✏️ 糸(スレッド)ベースの治療において、マリオネットラインをどのように矯正するかを症例報告として示しています。
✅ 5. 老化によるFacial Soft Tissueの変化 (Midface & Marionette)
タイトル: Instrumental analysis of retaining ligaments and soft tissue descent…
ジャーナル: Journal of Craniofacial Surgery Open
✏️ 中顔面(Midface)構造の支持力の喪失が、ほうれい線・マリオネットラインの形成と関連しているという解剖学的分析を提供しています。